お子さんの歯並びに影響を与える要素には、「親からの遺伝」の他に、「食習慣」「くせ」「乳歯の虫歯」などがあります。

今回はその中から、「食習慣」に注目し、お子さんが整った歯並びになるためのポイントとともに、あごの発育に役立つレシピをご紹介します。

現代っ子の歯並びが悪くなる原因は「食生活」にあった

近年、歯並びが整っていない子どもに多く見られる特徴として目立つのが、「あごが小さい」ということ。実はこの現象には、現代っ子たちの食生活が深く関係しています。

それでは、その理由を順にご説明しましょう。

あごが小さいと歯並びが悪くなる理由

あごは歯が生えるための、いわば土台にあたる部分です。
あごが小さすぎると、すべての歯が生えそろうために必要なスペースが確保できません。
行き場を無くした歯は、本来の歯列からはずれた位置に顔を出したり、かたむいて生えたりするので、歯並びは悪くなってしまいます。

毎日の食事で「十分に噛むこと」を意識すれば、子どものあごは大きく育つ!

あごの骨と筋肉を大きく育てるには、あごの運動である「噛む」という行為が必要不可欠です。
しかし、日本人の食生活が西洋化に進んでしまったことで、食事のときに噛む回数も激減してしまいました。

ふかふかのパンにやわらかいハンバーグ、軽い食感のフライドポテトなど、数回噛んだだけでも飲み込めるようなメニューが、私たちの日常生活にすっかり定着しました。
これらは「お子様ランチ」の定番ともいえるほど、子どもたちから人気です。

こうして、あごを使う機会が減った結果、あごが小さい子どもが増えたというわけです。

整った歯並びの土台を作る!あごを育てる食事の3つのポイント

よく噛んで土台となるあごを大きく育てれば、歯並びの乱れを予防できる可能性が高まります。ここでは、噛みごたえのある食習慣作りのために役立つヒントを3つご紹介します。

その1:和食中心の献立・レシピにする

筑前煮

和食では、「干物」「乾物」「こんにゃく」「漬物」など、洋食にはない、歯ごたえのある食材を多数使用します。したがって、和食中心の献立にするだけでも、自然に噛む回数が増やせるのです。

主食のご飯は、「玄米」や「押し麦」などを混ぜて炊くことで、プチプチとした食感になり、よく噛むことにつながります。

レシピとしては、筑前煮、きんぴらごぼう、ひじきと豆の煮物、細かく切ったこんにゃくやごぼうが入った五目ご飯、浅漬け、野菜スティックなどがおすすめです。

その2:調理法を工夫する

同じ食材でも、調理の方法によって歯ごたえが大きく変化します。いつもより大きめのサイズにカットすると噛む回数が増やせますし、野菜は火を通しすぎないことで適度な歯ごたえをキープできます。

また、スープや味噌汁は水分が多いと、具を流し込んで飲むのがクセになりやすいので、注意が必要です。具だくさんにしたり、汁気を少なめによそえば、噛む回数も増やせます。

なお、こんにゃくやお餅などの具材は、喉につまって窒息する事故につながりやすいので、取り扱いには十分注意しましょう。

その3:おやつ選びにも一工夫を

噛みごたえのあるメニューを嫌がる子でも、おやつであればしっかりと噛んでくれることが多いもの。柔らかい食事に慣れている場合、まずはおやつから、よく噛む習慣作りをスタートさせましょう。

よく噛めるおやつとして「干し芋」「かりんとう」「かた焼きせんべい」「いりこ」などがあります。

すでに歯並びが悪い場合は、矯正歯科の受診がおすすめです

しっかり噛むことで歯とあごは成長しますが、すでに噛み合わせが悪い場合、噛み続けることであごの関節に負担をかけてしまう可能性があります。
心当たりのある方は、早めに矯正歯科を受診することをおすすめします。