お子様の永久歯が斜めに生えてきて心配されている親御様は多いことでしょう。前歯が斜めに生える原因のひとつに先天的な歯の大きさや顎の小ささがあります。その場合は将来の歯並びへの影響が出る可能性もあるので観察が必要です。ここでは、斜めに永久歯が生えてきたときの対処方法や矯正治療について説明します。

前歯が斜めに生える原因

お子様の前歯が斜めに生えることは珍しいことではありません。斜めに前歯が生えても、成長とともに改善する場合があるので、経過を観察する場合があります。しかし、口腔内の状態によっては、矯正治療が必要になることもあります。お子様の前歯が斜めに生える原因について説明します。

子どもの歯は斜めに生えるのが一般的

永久歯のうち、前歯の4本はハの字型に生えてくるのが一般的です。乳歯が永久歯に生え変わる時期にお子様の歯が斜めに生えていても、後から生えてくる犬歯などの影響をうけて成長とともに前歯がまっすぐになる場合もあります。

顎が小さいため

永久歯が斜めに生えても、多くの場合顎の成長とともに改善されます。しかし、お子様の顎が小さい場合、犬歯が生えてきても歯が押されるスペースの余裕がないため、斜めの状態が改善されないこともあります。

歯が大きいため

遺伝的にお子様の歯が大きいため顎の大きさと歯の大きさが合わず、永久歯が斜めになっていることもあります。あごの大きさに対してお子様の歯が大きい場合も、歯が移動したり位置が改善したりする余裕が無くなってしまいます。

状態別:子どもの永久歯が斜めに生えたときの対処方法

斜めに生えてきた歯お子様の歯が斜めに生えてきたからといって、すぐに矯正治療が必要とは限りません。斜めに生えた歯の状態別に対応方法を説明します。

少し斜めに生えて隙間がある場合

お子様の歯が斜めに生えてきても、他の歯とのずれが5mm以内とあまり目立たない場合は、そのまま様子見しても問題のないことが多いでしょう。歯と歯のあいだに隙間があれば、後に生えてくる隣の歯に押されてまっすぐになるためです。

歯が少し斜めに生えてきても隙間がある場合は、焦らずに様子をみましょう。

歯が大きく、かなり斜めに生えている場合

斜めに生えている永久歯が大きく、目立つほど斜めに生えている場合には、将来的に矯正治療が必要になることがあります。しかし、お子様の顎はまだ成長途中のため、日常的なトレーニングでの改善も見込めますので歯科医師に相談してみましょう。

改善方法は?
噛む回数が少ないと、筋肉や骨が充分に成長できずに顎も小さいままです。食事のときには、左右の歯でよく噛むように促してあげましょう。

顎が大きくならない場合は、矯正治療で顎を人工的に拡大したり、抜歯が必要になることもあります。

骨や歯肉にも影響があり歯がかなり斜めに生えている場合

前歯が他の歯と比べて、60度以上ねじれている場合は、早めに矯正専門医への相談をおすすめします。

また、上唇と前歯のあいだにある上唇小帯が長く伸びていると、隣の歯に押されても上唇小帯が邪魔して隙間が埋まらない場合もあります。お子様の上唇小帯が気になるなら、専門医に相談しましょう。

上唇小帯が長く伸びている

乳歯が斜めに生えてきた場合

お子様の乳歯が斜めに生えていても、あごの成長とともに歯の向きや位置がかわることがあります。乳歯の場合は、成長を待ってもいいでしょう。

前歯が斜めに生えるリスク

前歯が斜めに生えることはいくつかのリスクを伴います。お子様の前歯が斜めに生えることで発生するリスクについて説明します。

ものをうまく噛めなくなる

お子様の歯が斜めに生えていると、上下の歯が上手く噛み合わないため、前歯でものを噛み切ることが難しくなります。前歯でものが噛めないと、顔をかたむけて食事をする癖がついたり、周囲の目が気になり食事を楽しめなくなったりしてしまいます。

発音が不明瞭になる

前歯が斜めに生えていて噛み合わないと、発音時に空気が隙間から抜けてしまうことがあります。発音が不明瞭だと言葉が上手く伝わらなかったり、人前で話すことにコンプレックスを感じたりする可能性がでてきます。

虫歯や歯肉炎になりやすくなる

歯が斜めに生えていると、隙間に食べ物や食べかすが残りやすくなります。歯ブラシが上手く歯の隙間に当たらず磨き残しになってしまうためです。放置すると虫歯や歯肉炎を引き起こしてしまいます。

歯が斜めに生えているときに日常でできる対処法

歯が斜めに生えることでさまざまなリスクがあることは、親御様にとっては気がかりな部分でしょう。リスクを減らすために、日頃から気をつけてあげたい点について説明します。

舌や指で押さないように気を付ける

歯の位置や角度は急激に変化するものではありません。しかし、気になるからといって舌や指で押しているとさらに歯並びが悪くなることがあります。

とくに、歯の裏側を舌で押す癖がついてしまうと、出っ歯(上顎前突)になることも。お子様が舌や指で歯を押さないように見守ってあげましょう。

歯磨きではハブラシ以外にデンタルフロスなどを利用する

糸ようじで歯の掃除

先程もお伝えしたように、歯が斜めに生えるリスクのひとつが虫歯や歯肉炎です。斜めに歯が生えていると歯ブラシが上手く隙間に入らず、磨き残しを生じてしまうのです。歯磨きの際は、歯ブラシだけでなくデンタルフロス(糸式ようじ)などを使い、細かい隙間を磨くようにしましょう。

斜めに生えてきた歯の矯正方法

お子様の歯が斜めに生えてきた時の歯列矯正に使う装置の種類、矯正の方法、時期について説明します。

斜めに生えた歯を正しい位置に矯正する方法には、ワイヤー矯正(表側/裏側)とマウスピース矯正(インビザライン)がありますが、まだ乳歯のある小児矯正(第一期治療)では主に、ワイヤー矯正(表側)での治療を行います。

ワイヤー矯正(表側)は、歯の表側にワイヤーを通して歯並びを治す方法です。費用は70万円から90万円ほどかかります。

矯正治療は自由診療のため、治療費用が医院によって異なります。詳しい治療費用については各医院でご確認ください。

※注:アリビオ矯正歯科クリニックではお子様のインビザライン治療は行っておりません
※矯正治療の費用につきましては以下のページをご覧ください
治療費のご案内

部分矯正か全体矯正か

斜めに生える歯の矯正方法は、「前歯だけを矯正する部分矯正」と「全体に矯正器具を装着する全体矯正」のいずれかになります。

部分矯正が可能になるのは、奥歯の噛み合わせに問題がないと専門医が判断した場合ですが、やはり一部だけ治すことで全体の噛み合わせに影響が出ることも少なくありません。

特にこれから顎や歯が成長していくお子様の場合、状態によっては永久歯が生え揃うのを待って、全体的なバランスをみながら調整していくのが良いでしょう。

年齢や状況によっては歯が生えそろうのを待つことも

お子様の年齢や口腔内の状況によっては、歯が生えそろうのを待ってから治療方法を確立します。お子様の歯の状態を確認するためにも、まずは専門医に相談しましょう。

子どもの歯が斜めに生えて気になるなら矯正歯科にご相談を

お子様の歯が斜めに生えているとお悩みなら、一度当医院にご相談ください。お子様の歯の状態や歯が斜めに生える原因を確認しながら、一人ひとりにあった治療方法をご提案いたします。

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