お子様の歯並びを矯正する方法として床矯正を提案された場合、どんな治療方法かが気になる親御様もいらっしゃるでしょう。

床矯正は小児矯正の一種で、歯が乳歯から永久歯に生え変わる幼少期のお子様からご利用いただける矯正方法です。

ここでは床矯正の費用や期間、メリット、デメリットについて解説します。お子様の床矯正についてお悩みの親御様はぜひ参考になさってください。

床矯正の治療方法や費用の目安は?

床矯正は永久歯が揃った時に抜歯をともなう矯正を極力回避するために、予防的に行う治療方法です。床矯正の治療方法や費用、矯正にかかる期間について解説します。

床矯正は床矯正装置で良い歯並びの土台をつくる治療方法

床矯正は、歯が生えている土台を動かすことで、歯の並ぶスペースを確保する矯正方法です。

「子どものあごを広げる」と表現されることもありますが、正確には、歯を支える役割を持つ歯槽骨の位置を移動させて、歯が正しく並ぶための十分なスペースを作ります。

歯列矯正では抜歯して歯の位置を正しく整えることがありますが、将来的に非抜歯で治療を行えるよう、土台をつくるのが床矯正の大きな特徴です。

床矯正の治療で使用するのが、床矯正装置と呼ばれる器具です。

床矯正装置は、上顎や下顎につけるプラスチックでできたレジン床部分と、歯にひっかける金属部分で作られており、入れ歯のような構造をしています。

レジン床の部分に埋め込まれたバネやネジ(スクリュー)を広げることで、歯槽骨の位置を移動して歯並びを矯正します。

床矯正にかかる費用や期間

床矯正の費用は30万~40万円程度かかるのが一般的です。自由診療である矯正治療の費用は、各歯科医院の料金システムにより異なります。

※当医院では、最初に治療費の総額をおしらせする「総額提示制」を採用しています。矯正器具の調整料などは別途いただいておりません。床矯正が可能な前期治療の矯正費用は、総額で30万~40万円の費用がかかります。その他、治療が始まる前に検査料、診断料にそれぞれ2万円(税抜)が必要です。

床矯正は、多くの場合半年から2年ほどの期間がかかります。しかし、お子様の歯の状態や器具を装着している時間によって個人差があるのでまずは矯正歯科に相談してみましょう。

治療費のご案内

子どもの床矯正はいつからはじめるべき?適した年齢とは

床矯正装置をつけるこども

お子様の床矯正は、歯並びの状態によってはじめるのに適した時期が異なります。

下の歯が上に出る反対咬合など顎の前後のズレを矯正する場合には、前歯が4本生えそろう3歳ごろからの開始が適しています。

歯がガタガタしている乱杭歯(らんぐいば)の場合は、永久歯に生え変わる6歳から8歳ごろから治療を開始するのがおすすめです。

犬歯が生えたあとに床矯正をはじめると、歯並びに隙間がなくなる分、移動させる期間が多く必要になり、費用もかかりがちです。床矯正は、犬歯が生える9歳から10歳までには開始するのがいいでしょう。

矯正治療は早ければ早いほどいいといわれることもありますが、歯の状態や顎の成長具合によって、開始のタイミングが変わってきます。

※子どもの矯正開始時期について詳しくはこちらの記事をご覧ください
こどもの歯並びが悪い|症状別に矯正開始時期の目安をご案内します

床矯正で後悔しないために|メリット・デメリットを詳しく説明

お子様の床矯正を勧められたときに心配になるのは、「矯正をおこなうことでどのような影響があるのか」ではないでしょうか。

「費用と期間をかけて床矯正をおこなっても、思ったような結果が得られなかった」「負担が大きくてやめてしまった」など、後悔することにならないように、事前に床矯正の長所と短所について確認しておきましょう。

床矯正のメリット1|永久歯の矯正時に抜歯をともなう治療を予防できる

床矯正は、床矯正装置を設置して歯列の幅を広げる矯正治療方法です。そのため拡大量と永久歯の大きさのバランスがとれた場合は、永久歯期の矯正治療で抜歯をおこなう必要がありません。

抜歯には、以下のデメリットがあります。

  • 矯正のための抜歯は自由診療のため、一般的に5千~1万円ほどの費用がかかる
  • 抜歯をしたあとに、痛みが出たり歯ぐきが腫れたりする症状や違和感がでることがある
  • 抜歯でできた大きな隙間を歯が移動する必要があるため、治療完了までに時間がかかる可能性がある

お子様の健康な歯を抜くのに抵抗を感じる親御様もいらっしゃるでしょう。

床矯正で予防的な治療をしておくことで、将来的な矯正治療時に極力抜歯を回避できる可能性が高まります。健康な歯を抜かずに済むだけでなく、抜歯にかかる費用や時間をおさえられれば大きなメリットになるでしょう。

※歯ならびの状態によっては抜歯をともなう矯正が必要なケースもあります

床矯正のメリット2|床矯正装置は取り外しが可能

お子様の床矯正で使用されるのが、入れ歯のような形の床矯正装置です。

床矯正の装置は、自分で取り外し可能です。そのため、食事や歯磨きなどを矯正治療前と同じ状態でおこなえるメリットがあります。

通常の矯正装置は固定されているため、調整の際に歯科医に外してもらう以外は、自由につけ外しはできません。そのため、器具のまわりに汚れがたまりやすくなり、虫歯になるリスクが上がります。

一方、好きなタイミングで矯正装置を取り外せる床矯正装置は、お子様の歯の磨き残しを防げるので、虫歯のリスクも防止できるでしょう。

自由に着脱ができる床矯正ですが、一度つけたら最低30分は装着しておくのをおすすめします。

床矯正のメリット3|ワイヤー治療に比べて痛みを感じにくい

床矯正装置のイラスト

床矯正は、歯に強い力がかかりづらいため、痛みを感じにくい矯正方法です。

お子様が矯正のときに感じる違和感や痛みは、矯正器具の種類によって異なります。その中でも、ワイヤー矯正は、「ワイヤーで締め付けられることで痛みを感じる」「器具が口腔内にあたり、キズになって痛みを感じる」などが起こることもあります。もちろん調整は可能ですが、人によっては抵抗を感じる方もいらっしゃるでしょう。

一般的な床矯正の器具は、締め付けがなく土台はシリコン製です。そのためワイヤー治療に比べて痛みを感じにくい特徴があります。

しかし、まれに装置が歯茎に当たって痛みを感じることもあります。その場合は、装置の調整で緩和しますので、矯正歯科医師に相談しましょう。

床矯正のデメリット1|歯並びの細かい調整や大きな移動はできない

床矯正には、メリットだけでなくデメリットもあります。

その一つが歯並びの細かい調整や大きな移動ができないことです。

床矯正は、歯槽骨を一方向に移動する矯正方法のため、ワイヤー治療のように歯の位置を細かく調整したり、大きく移動したりして歯並びを整えることはできません。

床矯正のデメリット2|装置の違和感から発音が不明瞭になる

床矯正は、装置の違和感や舌の動きが制限されることから発声しづらくなり、滑舌が悪くなるデメリットがあります。

とくに、装置をつけ始めたころは制限される舌の動きに慣れず、お子様が話しづらさを感じる場面が増える可能性があります。

お子様の床矯正では、不明瞭な発音を聞き取ってもらえないことがストレスになることも懸念されます。気になる方は矯正歯科医に相談してみましょう。

床矯正のデメリット3|1日14時間装着する必要がある

床矯正の装置は、1日14時間装着が必要です。床矯正を装着している時間が短いと「計画通りに治療が進まず時間がかかる」「思ったような治療結果が得られない」などのデメリットが生じることも。

お子様や親御様がご自身で自由に装置を取り外しができるからこそ、しっかりと自己管理をおこなわないと、効果が薄れたり、治療に時間がかかったりしてしまいます。

床矯正のデメリット4|すべての歯の状態に対応できるわけではない

床矯正は押し出すようにしか歯を動かせません。そのため、重度の乱杭歯や出っ歯、受け口などの場合は床矯正だけでなく、ほかの矯正方法との併用が必要になることもあります。

歯のバランスや噛み合わせに配慮せずに、乱杭歯を無理やり矯正してしまうと、歯が前に押し出されてしまう可能性も出てきます。

子どもの床矯正を始める前にまずは矯正歯科でご相談を

床矯正は歯の状態により開始に適した年齢があるため、お子様の歯の状態やあごの成長を調べて床矯正が可能か判断する必要があります。

歯科検診などで床矯正をすすめられたら、一度当医院にご相談ください。お子様の歯やあごの状態を確認したうえで、治療計画を立てていきます。