「子どもの歯を矯正したいけど、いつから始めたらよいのかわからない」。そのような悩みを抱える親御様はたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回はお子様の理想的な歯並びを紹介するとともに、矯正を始める時期やかかる期間、さらに費用などについてもくわしくご説明いたします。矯正に関して不安がある場合は、ぜひ参考にしてみてください。
6・7歳の理想的な歯並びは「すきっ歯」
一般的にすきっ歯と呼ばれる空隙歯列(くうげきしれつ)は、その名の通り歯と歯の間に大きく隙間が空いている状態を指します。
大人であれば多くの方が「矯正したい」と考えるすきっ歯ですが、実は乳歯の場合非常に理想的な歯並びなのです。
小学校に入学する時期である、およそ6・7歳頃から、乳歯が永久歯に生え変わり始めます。永久歯は乳歯よりも大きいため、乳歯列にやや隙間があるぐらいが理想的なのです。
逆に乳歯が隙間なく詰まっていると、永久歯が生え揃うための十分なスペースがなくなってしまいます。
そのため仮に6・7歳ごろのお子さまがすきっ歯であったとしても、それは理想的な状態なので、安心してください。
8歳~12歳の歯並びはどんな状態
8歳〜12歳のお子様の歯は混合歯列期(こんごうしれつき)や側方歯列交換期(そくほうしれつこうかんき)と呼ばれ、乳歯と永久歯が入り混じっている状態です。
この時期に歯並びの悪さが気になる場合は、よりよい治療結果を得るためにも、早めに矯正歯科に相談することをおすすめします。
小学生のうちに歯並びを矯正する必要性はある?
歯がすべて永久歯に生え変わったあとに矯正治療をはじめると、場合によっては「歯を抜かなければならない」などのリスクが出てきます。しかし8~12歳の、混合歯列期のうちに矯正治療をはじめた場合、多くのメリットがあるのです。
8歳〜12歳ごろのお子様の成長は目まぐるしく、その成長速度は歯並びの改善も手助けするため、スムーズに治療をすすめられる場合が多くなります。
この時期はまだあごも発達しきっていないため、永久歯の生えるスペースを十分に作りながら歯並びを整えていけるのが利点です。
あごを拡大しながら治療を行う場合が多いため、歯を抜かずに治療が完了できる可能性も高くなります。
中には「大人になってから矯正治療をすればいい」という意見もありますが、矯正治療は一部の場合を除いて小学生の間に始めたほうが、子どもへの負担も小さくなるケースが多いといえるでしょう。
※矯正治療が必要なケースについて詳しくはこちらの記事もご覧ください
こどもの歯並びが悪い|症状別に矯正開始時期の目安をご案内します
子供の歯科矯正にかかる期間はどのくらい?
お子様の歯列矯正を完了させるにはどのくらいの期間が必要なのでしょうか。
どのような矯正治療の場合でも少なくとも1年以上はかかるのですが、治療の種類によってその期間も異なってきます。
1期治療
乳歯と永久歯が混在している混合歯列期に開始される治療は1期治療です。あごの成長を利用しながらプレートなどの器具を使用して矯正を行うケースが多くなります。
1期治療は基本的にお子様の成長を生かした矯正となるため、治療期間は1〜3年程度かかる場合が多いでしょう。治療後に永久歯の歯並びが良くなっていればそこで治療は終了ですが、不十分な場合は2期治療に進むこともあります。
2期治療
お子様が成長するに従って、あごの骨がしっかり出来上がり、拡大は難しくなるため一旦永久歯がすべて生え揃うまで待ってから矯正治療を開始する場合もあります。
この永久歯列期に行われる治療は2期治療と呼ばれ、大人に施される矯正治療と同じものです。ワイヤーなどを使用して行われる2期治療は、1期治療後に永久歯が正しい位置に生えて来ない場合に行うことが多い治療です。
しかしあごの成長が十分であったりはじめる時期が小学校高学年以降である場合は、1期治療をせずにそのまま2期治療から行う場合もあります。
2期治療の治療期間は1〜2年と1期治療に比べると少し短いケースが多いでしょう。
子供の歯の矯正費用・保険や医療費控除が使えるケースも
お子様の歯並びが気になった場合でも、その費用の高さから治療を躊躇される方は多いかもしれません。しかし中には、保険や医療費控除が利用できるケースもあるのです。
ここでは小学生の矯正治療に利用できる保険等について紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
保険適用になるケース
歯列矯正の場合審美的な側面が強いため、基本的に健康保険は適用されないことがほとんどです。しかしごく一部ではありますが、保険適用される小児矯正もあります。
たとえば唇顎口蓋裂(しんがくこうがいれつ)や顎変形症(がくへんけいしょう)といった先天的な疾患が原因で歯並びが悪くなっている場合は、保険適用されることがほとんどです。
これらの疾患を放置しておくと全身の発育にも悪影響を与えかねないため、保険適用が可能とされています。
子供の歯の矯正も医療費控除の対象になる
健康保険が利用できない場合は、どうしても矯正費用が高くなってしまいます。使用器具などによっても異なりますが、30万円以上かかることが多いでしょう。実はお子様の歯の矯正も、医療費控除の対象となります。
医療費控除とは納税時に一定の医療費を払った際に適用されるもので、納税者本人だけでなくその家族の医療費も控除になるのです。
もちろん家族であれば、お子様にも適用されるので、この制度を利用することで金銭面でのハードルを下げられます。
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こどもの歯科矯正・注意してあげたいポイントは
お子様が矯正治療をするにあたって1番大事なのは、最終的に歯並び・噛み合わせのよい大人になることです。子どもの成長はめまぐるしく、歯並びの状況も常に変化していきます。
そのため全体を通してどの時期に矯正治療をはじめると1番メリットが大きいのか、その点をしっかりと考えた上で矯正開始の時期を決定することが重要です。
矯正開始の時期で後悔をしないためにも、少しでも悩んだ場合は早めに小児の矯正治療実績のある歯科医に相談するようにしましょう。