「歯並びの悪さが自然に治ることはありますか?」というご質問をいただくことがありますが、残念ながら、そのようなケースはほとんどありません。しかし、子どもの場合は例外もあります。
今回は、子どもの歯並びが自然に治る可能性があるケースを3つご紹介します。
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1.「受け口」とも呼ばれる「反対咬合」の場合
下の前歯が上の前歯よりも前方に位置する「反対咬合(はんたいこうごう)」。乳歯の反対咬合では、永久歯に生え変わるタイミングで、前歯が正しい位置関係に戻ることが稀にあります。
反対咬合は、その原因によって次の2タイプに分けられ、このうち、自然に治る可能性があるのは(2)です。
(1)下あごが上あごよりも大きいという「骨格の問題」から生じるもの
(2)下の歯が前に突き出して上の歯が内側に傾くなど「歯の生える方向の問題」によって生じるもの
個人差も大きいのですが、以下に当てはまる場合は、自然に改善する可能性があります。
- 反対咬合は、下の前歯の3本以内にとどまっている
- 下あごをひっこませると、上の前歯が下の前歯よりも前にくる
- 親兄弟に反対咬合の人がいない
とはいえ、反対咬合が自然に治るケースは稀で、むしろ、自己判断で様子を見ているうちに適切な治療開始時期を逃してしまう危険性もあります。反対咬合があるお子さんは、3歳頃までに1度、矯正歯科クリニックを受診することをおすすめします。
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2.乳歯の「すきっ歯」の場合
乳歯のすき間は、隣接する歯が永久歯に生え変わることで押され、自然に埋まることが一般的です。
乳歯と乳歯の間が広く空いているのは、乳歯よりも一回り大きい永久歯が将来生えてくるスペースを確保するためです。したがって、乳歯の「すきっ歯」に神経質になる必要はありません。
特に、6〜7歳頃に永久歯に生え変わったばかりの上の前歯は、一時的に「すきっ歯」になりやすいのですが、犬歯(糸切り歯)が生えてくることですき間が埋まり、目立たなくなることがほとんどです。
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3.歯並びを悪くする「癖」をやめることで、歯並びが改善することがある
「指しゃぶり」や「口呼吸」など、特定の癖が原因で歯並びが悪くなっている場合、その癖を止められれば歯並びも自然に改善する可能性があります。
なお、「指しゃぶり」のなどの癖は、子どもにとって精神安定剤のような役割もあり、無理にやめさせるとストレスにつながることも。子どもの治療経験が豊富な歯科医師による適切な判断と、経過観察が必要でしょう。