歯列矯正にかかる費用は、原則としてすべて自己負担です。しかし、上下の噛み合わせが大きくズレた「顎変形症(がくへんけいしょう)」の矯正治療では、健康保険が適用できる場合があります。
今回は、顎変形症とその治療方法、そして、保険適用で矯正治療するための条件についてご紹介します。

噛み合わせや顔の形にも大きな影響をおよぼす顎変形症

顎変形症とは、両あごの骨のバランスが悪いために、噛み合わせがいちじるしくズレた状態を言います。咀嚼(そしゃく)しにくい、きれいに発音できない、などの機能的な問題に加えて、顔面が左右非対称になるなど、美容面にも影響する場合があります。

顎変形症だと歯並びはどうなる?

上あごと下あごがずれることで、主に以下の症状があらわれ、中にはこれらを合併するケースもあります。

  1. 骨格が前後にズレて起こる「上顎前突(出っ歯)・下顎前突(受け口)」
  2. 骨格が上下にズレて起こる「開咬」
  3. 骨格が左右にズレて起こる「交叉咬合」

関連コラム

出っ歯に開咬…矯正治療をおすすめする悪い歯並び5種類

「見た目」と「歯並び」だけではない!顎変形症で引き起こされる症状

顎変形症では、上下の歯がうまく噛み合わないため、あごの筋肉や関節に余計な負担がかかり、痛みが生じることがあります。また、下あごが小さい場合には、空気の通り道が狭くなるので「睡眠時無呼吸症候群」を発症することもあるのです。

重度の顎変形症は歯列矯正と手術で根本的に治療できる

軽度の顎変形症なら、歯列矯正のみでも改善が見込めます。しかし、骨格のずれが重度の場合は、歯科矯正とあわせて、あごの骨に対する手術が必要です。骨格のずれが再発しないよう、あごの成長が終了する16~18歳以降に治療を受けるのが一般的です。

歯列矯正と外科手術の両方を行う場合の一般的な流れ

手術前の歯科矯正

手術後に歯が正常な位置で噛み合うよう、あらかじめ矯正を行って整えます。

手術

形成外科・口腔外科で行います。手術は全身麻酔下で行われ、入院期間は10日前後を見込んでおきましょう。

手術後の歯科矯正

術後のあごの安定を待ちながら、歯並びや噛み合わせの微調整を行います。

上記の治療にかかる期間はトータルで3〜4年程度と長期に渡りますが、骨格のずれを根本から改善できます。その結果、噛み合わせの異常はもちろん、上でご説明したさまざまな症状が改善され、口もとの印象も大きく変わるのです。

顎変形症を保険適用で治療するには?

保険証

以下の条件を満たす重度の顎変形症の歯列矯正と手術には、健康保険が適用できます。

  • 「あごの骨に対する手術が必要な顎変形症である」と診断を受ける
  • 「顎口腔機能(がくこうくうきのう)診断施設」の認定を受けている医療機関で治療を受ける

「顎口腔機能診断施設」の認定は、年度により変更される場合があるので、受診の際は必ず医療機関に確認しましょう。